研究概要 |
日常臨床において行われている動揺度診査は,歯科医が指やピンセットで歯を揺らせるという方法であり,簡便ではあるがその客観性に問題がある。本研究は臨床応用を目的とした客観的な歯の動揺度診査システムの開発であるが,研究期間を3年とし,初年度はシステム開発のための基礎データの採取とシステムの基本設計,さらに臨床試用TM-I型の試作を行った。本研究の実施に当たっては,研究代表者(岡久雄)が主に健常歯でのデータ採取およびシステムの設計を行い,研究分担者(更谷啓治)が,疾患歯を中心とした臨床データの採取および試作システムの臨床評価を行った。すなわち, 1.動揺度診査システム開発のための基礎データの採取 客観的な歯の動揺度診査システムの中核となるのは,T-Mテスタである。そこで多数の健全歯や疾患歯,歯科インプラントの臨床データを採取して,最適な測定周波数を選択した。また,加える振動や初期荷重の大きさなどの測定条件も検討した。 2.測定プローブの設計とT-Mテスタ本体の設計 1での検討結果をもとに,バイモルフ型圧電セラミックを製作して測定プローブの小型化を図り,さらに先端を小さくして口腔内からも測定できるように基本設計を行った。またテスタ本体は携帯型となるよう,アンプの小型化や動揺度指標の表示法,測定の操作性などを考慮して設計し,チュアサイドでの試用を可能とした。 3.臨床試用TM-I型の試作 1,2の結果をもとに,臨床試用TM-I型の試作を行った。
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