研究概要 |
臨床において,日常的に行われている動揺度診査は,指やピンセットを使って歯科医が歯を揺らせる方法であり,簡便ではあるがその客観性に問題がある。本研究は客観的な歯の動揺度診査システムの開発であり,研究期間を平成8年度より3年とし,初年度はシステム開発のための基礎データの採取とシステムの基本設計,また臨床試用TM-I型の試作を行った。引き続いて第2年度は試作されたTM-I型を臨床的に評価し,使用上の問題点を明らかにして,TM-II型を試作した。最終年度では,試作された臨床試用TM-II型の総合評価を行い,客観的な歯の動揺度診査システムの開発を終えた。本研究の実施にあたっては,研究代表者(岡久雄)が主にシステムの設計・基礎特性の評価を行い,研究分担者(更谷啓治)が,臨床データの採取および試作システムの総合的な臨床評価を行った。すなわち, (1) 臨床試用TM-II型の基礎特性評価 試作された臨床試用TM-II型測定プローブに対し,温度特性や測定精度,さらに操作性などの基礎特性について検討した。また同プローブを臨床チェアサイドで使用し,天然歯や歯科インプラントの臨床データを採取しながら,臨床使用における問題点について検討した。 (2) TM-II型を中心とする客観的な歯の動揺度診査システムの臨床評価 (1)での検討結果を踏まえ,また感染予防などの問題点にも対処できるよう,測定プローブに対策を講じた。さらに臨床現場での試用を行い,客観的な歯の動揺度診査システムの開発を完了した。
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