研究課題/領域番号 |
08455209
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造工学・地震工学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
阿部 雅人 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (60272358)
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研究分担者 |
木村 吉郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50242003)
藤野 陽三 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20111560)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 高架道路橋 / 高エネルギー吸収材料 / 最適化 / 損傷分布 / 損傷制御 / 極軟鋼 / 低サイクル疲労 |
研究概要 |
本研究では、高架道路の耐震性能向上策として、高エネルギー吸収材料・部材を効果的に用いる方法を構築することを目的として研究を行った.具体的には、地震による力学的エネルギーを意図的に局在化させ、そこに高エネルギー吸収材料・部材を配置することによって、高架橋主部材の損傷を防ぐと同時にエネルギー吸収部分の取り替えだけで復旧を可能とする損傷制御法を開発することを目指すものである. 平成9年度は、まず、前年度に行った極軟鋼を用いたエネルギー吸収部材に関する基礎的解析を発展させ、そのエネルギー吸収性能を実験的に明らかにした.また、これまで不明確であった極軟鋼の大ひずみ領域における低サイクル疲労特性についても実験的に検討を行い、極軟鋼が大ひずみ領域においても靱性に富む優れたエネルギー吸収材料であることを明らかにした.次いで、鋼製橋脚を例にとり、極軟鋼からなる損傷制御法を示し、損傷の局在化による耐震性能の向上の可能性とその限界を定量的に示すことに成功した.さらに、実設計への応用を念頭に簡易計算式を導くとともに、それを用いた構造最適化の方法を併せて構築した. これらの知見をもとに、実際の高架道路橋について非線形動的応答解析を用いて損傷制御法の適用可能性を検討した.まず、兵庫県南部地震における3径間連続高架橋の支承と橋脚の損傷分布を詳細に解析することによって、解析的に予測される損傷分布と実際の被災パターンが概ね一致することを示した.このことにより、実際の地震時においても損傷の制御が行える可能性が示唆された.さらに、多径間連続高架橋を例に行った3次元有限要素解析によって、損傷制御法の適用可能性を検証した. 実用に当たっての課題は残るものの、これら一連の実験および解析によって、力学的エネルギーを意図的に局在化させ主部材の損傷を防ぐ損傷制御型の耐震構造の可能性と将来性を示すことができたと考えられる.
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