研究概要 |
上下水道,電気・通信,ガス等のライフラインの地下埋設工事が,生活道路や歩道で頻繁に行われているが,適切な施工管理が行われることは少ない.そのため,多くの場合舗装表面には段差が生じているが,その段差は補修をされることもなく放置されているのが現状である.このような段差は車椅子を利用する身体障害者や老人,視力障害者など,いわゆる社会的弱者の歩行にとって大きな障害となっているが,工学的な観点からこれらの問題を取り扱った研究は少ない.本研究はこのような点に着目し,舗装表面の凹凸と車椅子の走行抵抗の関係を実験的に明らかにし,社会的弱者のための舗装管理基準を作成することを目的としている.そこで,様々な路面条件について車椅子の走行実験を行い,走行に要する牽引抵抗と走行時の振動を計測した.その結果から以下の結論を得た. 1.平均年齢82.1歳,平均体重44.7kgfの高齢者が発揮できる車椅子の推進力は3.6kgfから7.3kgfであり,これらの推進力で越えることのできる段差はそれぞれ1.8mmおよび3.6mmであった. 2.CSA(カナダ政府基準)を満たすためには,段差は4mm以下でなければならない. すりつけ部の許容勾配は,斜距離40cmに対し11%,同20cmに対し24%が限度であった.
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