研究概要 |
平成8年度の研究において,(1)粘・弾塑性構成方程式による数値解析手法,および(2)間隙水圧増減による段階載荷圧密試験によって有効応力-歪-時間関係を求める実験手法の両方が共に確立した。その成果を踏まえて平成9年度は次の3課題に研究の焦点を合わせ,以下に示す結果を得た。 課題1-過圧密領域における応力-歪-時間関係の吟味- 先行最大圧密応力からの除荷・再載荷を異なる圧密時間の段階載荷により行い,(1)応力-歪のヒステリシス曲線は必ず最大先行圧密応力の下で閉じる,(2)ヒステリシス曲線は時間の影響を殆ど受けない,(3)膨潤指数C_SはOCRのみによって決まることが判明した。その結果,過圧密領域では粘性を考慮しない弾塑性構成式でその挙動を記述できることが明らかとなった。 課題2-先行圧密応力付近の荷重下での二次圧密係数C_αの吟味- 異なるp/p_Cの下での二次圧密挙動を実験的に求め,(1)C_αの値は一般に時間と共に変化する,(2)過圧密領域および正規圧密領域ではC_αは時間と共に減少するがP≒P_Cの下では一定した傾向を示さない,(3)正規領域のC_αの値は一定で,それに対して過圧密領域でのC_αの値は無視できるほど小さい(粘性の無視),(4)P≒P_CにおいてC_αの値は予測できないことが判明した。 課題3-圧密降伏後の粘性を考慮した状態曲面の存在に対する吟味- 定動水勾配を与える連続圧密試験から得られる状態曲面を段階載荷圧密試験から求めたそれと比較し,(1)e^^・一定のlog(1+e)-logσ'曲線で定義される圧縮指数C_C^*は両者で同じこと,(2)そのC_C^*を用いて定義されるΓ^・とe^^・の関係が両者で一致することが判明した。その結果,状態曲面は粘土に固有なものであることが確認された。
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