研究課題/領域番号 |
08455223
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
三浦 哲彦 佐賀大学, 理工学部, 教授 (00035073)
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研究分担者 |
荒木 宏之 佐賀大学, 低平地防災研究センター, 助教授 (70117315)
坂井 晃 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (00162256)
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キーワード | 海成粘土 / 塩分溶脱 / 鋭敏性 / 堆積環境 / 粘土鉱物 / 貝化石分析 / 地盤沈下 / 地下水揚水 |
研究概要 |
佐賀平野における海成有明粘土層からの塩分溶脱現象は、限られた数のボーリング試料について確認した。本年度は、さらに広範囲の地域にかけてこの実態を調査するために不撹乱有明粘土を採取し、土中塩分溶脱濃度等の調査や土質試験を実施して基礎データを得た。本平野においては農業用水、のり揚水の利用などで地下水が季節的に変動する事が知られているので、この現象が有明粘土層の地盤特性にどのように関わっているのか任せて検討を行った。溶脱後の地盤環境の変化が粘土の鋭敏性に及ぼす影響を検討するために、有明粘土中に含まれる各種イオンの測定や炭酸カルシウム等の定量分析を行った。 地下水揚水量が多く地盤沈下が著しい地区の有明粘土層から不撹乱有明粘土を採取し、塩分溶脱現象を確認するとともに地盤特性を物理・力学試験により検討した。また、揚水や地盤沈下の影響を受けていない地域から採取した不覚乱試料について同様な調査を行った。これらの試料に対して塩分調整を施すことによる力学特性の変化を調査し、実際の地盤における塩分溶脱現象が粘土の鋭敏性を増加させるメカニズムの解明のための基礎データを得た。圧密特性に関する基礎データの収集にあたっては、地下水揚水や塩分溶脱による影響を正確に評価するために、標準圧密試験に加えて定ひずみ圧密試験を行った。 佐賀平野においては、農業用水、のり用水の利用などで地下水位は季節的に変動することが知られており、この現象が有明粘土層にどのように関わっているのか調査しておく必要があった。これをシミュレートした繰り返し圧密実験、層別圧密実験を行い、地下水位変動にともなう応力履歴の変化が有明粘土層の圧密特性に及ぼす影響について考察した。 採取した有明粘土について貝化石分析、火山灰年代測定、酸化還元電位測定を行い、堆積当時の環境を復元した。つぎに、土中に含まれる主要粘土鉱物およびNa^+、Ca^<2+>、Cl^-、SO_4^<2->、等のイオンをX線解析装置、イオンクロマトグラフを使用して測定した。また、粘土中に発達するセメンテーションの寄与物質と考えられる珪藻、炭酸カルシウム、酸化鉄、等の定量分析を併せて実施し、これらの成因について考察した。以上の検討から、地層の環境変化の経歴を明らかにし、塩分溶脱現象を地下水移動の観点から考察した。
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