上越市西城町では豪雪年と暖冬年とでは10倍もの年間沈下量の違いがある。冬期の揚水量が2倍程度しか違わないのにこのような大きな地盤沈下量の差が生じるのは、地盤沈下対象層のほとんどが砂または砂質シルトからなっているためと思われる。そこで、砂質土及び砂分を多量に含む粘性土の繰返し圧密特性及び繰返し応力をかけた後の二次圧密特性を把握することを目的として研究を行うことにした。 砂分を多量に含む粘性土の繰返し圧密試験を行えるようにするために、全自動繰返し圧密試験装置を改良した。砂質粘性土を用いて繰返し圧密試験を行い、0.1秒間に1回の割合でデータを収録できるように試験装置の一部を昨年度改造した。そして、新たにプログラムを開発し、ほぼ自動的に繰返し圧密試験を行えるようになった。新潟県の上越市高田地区と南魚沼郡六日町で採取した乱さない土試料を用いて圧密試験及び繰返し圧密試験を行った。その結果、砂質土や砂分を多く含む粘性土も定数の違いがあるものの粘土のそれと同様な性質を有していることがわかった。 また、ポーリングを実施した六日町市街地において、消雪用に多量に地下水を揚水している深度60m付近の帯水層の地下水位と地層収縮量を新たに開発した持ち運びのできる簡便な地盤沈下測定装置を用いて測定し、地下水位の短期的な変動量と地盤沈下量の関係を明らかにした。地下水位が深度8mより低下すると、急激に地層が収縮し、しかも水位が回復してもほとんど膨張しないことが分かった。さらに、簡便な地盤沈下観測装置と従来から行われている二重管の抜け上がり量とを比較した結果、その誤差の範囲は計測機器の誤差の範囲に収まっていることがわかった。このような観測結果を踏まえ、繰返し圧密試験結果を解析し、それに昨年度までに行った結果を加えて報告書を作成した。
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