研究概要 |
平成10年度は、傾斜面に設置された潜堤を取り上げて研究を行った.多方向不規則波造波水槽に1/20の一様勾配斜面上に不透過潜堤を設置して,潜堤天端水深と作用波(多方向不規則波)を変化させた詳細な実験を行い,ヴィデオテープレコーダと本研究で開発した砕波水位計を使って,砕波限界を計測した.水理実験は,研究代表者と分担者が共同で行った.そして,水理実験値を解析して,多方向不規則波の砕波状況を考究すると共に,砕波限界の定式化を行った.そして,10年度の成果を含めて,3年間の研究成果のまとめを行った. 平成8年から平成10年の3年間で得られた成果は,次のように要約される. 1) 多方向不規則波の砕波を高精度で計測する水位計がなかったので,世界に先駆けて,12本のセンサーから構成される砕波水位計を開発した. 2) 多方向不規則波の方向集中度パラメター,S_<max>が大きくなるにつれて,砕波相対波高,H_b/R(H_b:砕波波高,R:天端水深)が平均的に小さくなり,砕け易くなる. 3) 多方向不規則波の限界波形勾配,H_b/L_O(L_O:深海波としての波長)は,H,/L_O=0.107tanh(k_OR)で精度高く算定できる(k_Oは深海における波数である). 4) 砕波相対波高,H_b/Rの実験値はばらつくが,その分散度合は,方向集中度パラメター,S_<max>が小さくなるにつれて,大きくなる. 5) 潜堤の横先端部での砕波波高は,急激な屈折の影響を受けるので,潜堤中央部での砕波波高より,一般的に大きくなる.
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