認知心理学で注目されている情報処理モデル(人間を情報処理体とみなし、認知や記憶を情報処理の家庭として扱う)を自動車運転者について適用するために、各種の実験を行った。実在の道路ネットワークを、経験の全く無いドライバーに実際に走行してもらい、「道の発見」を分析した。運転者の動的な心理的変化をプルトコル法によって抽出し、また走行前後の「認知地図」の作成により運転者の道路ネットワークの形成過程を分析し、新たな道路を検索する場合の運転者の傾向を大きく二つに分類することができた。また、一般的に言われる「知覚時間」と「経路の収束」の関係についても各種の知見を得られた。当初計画では、視覚情報との関わりをアイマークレコーダーを使った実験によって分析する予定であったが、今年度は機器の調達の後れ及び実験方法の複雑さから行わず、本格的な視覚情報の把握を計画している来年度へのステップとしてプレ実験を行った程度に終わった。
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