研究課題/領域番号 |
08455241
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
米田 稔 京都大学, 工学研究科, 助手 (40182852)
|
研究分担者 |
堀内 将人 大同工業大学, 建設工学科, 助教授 (00157059)
森澤 眞輔 京都大学, 工学研究科, 教授 (50026340)
|
キーワード | 阪神淡路大震災 / 震災影響 / 大火災 / ケミカルフォールアウト / 重金属汚染 / 土壌汚染 / フィールド調査 / 主成分分析 |
研究概要 |
昨年度までに阪神・淡路大震災による土壌重金属汚染の可能性を示すため、神戸市内の公園土壌について3年間の継続調査を行ってきた。今年度はまず、これらの測定値の地点代表性について検討するため、公園内での測定値の分散と公園間での測定値の分散を、一元配置分散分析を用いて比較した。その結果、全ての元素において、公園内土壌の測定値のばらつきは、各公園間での変動よりも十分小さく、一つの公園から得た土壌の混合試料は、その地点の土壌中重金属濃度の十分な地点代表性を持つことがわかった。また測定領域を神戸市内から中国地方の瀬戸内沿岸領域に拡大することにより、阪神・淡路大震災の影響を見ることも試みた。その結果いくつかの元素について、都市部あるいは工業地帯で濃度が高い傾向があり、工場などが汚染源となっている可能性が認められたが、特に神戸市内の汚染レベルが他の工業地帯よりも高いとは言えず、大震災による汚染レベルは過去から蓄積されてきた汚染レベルに比較して、それほど大きなものではないと考えられた。また各試料土壌の有機炭素濃度の測定も行い、測定値に土壌の有機炭素濃度が及ぼす影響についても検討した。その結果、有機炭素濃度と各土壌中金属濃度との相関は小さく、本研究で測定した公園土壌の場合には、有機炭素濃度は土壌中重金属濃度に対し、さほど影響を与えないと考えられた。また塩酸抽出法と硝酸抽出法での結果を比較することにより、土壌からの重金属の抽出法の違いが測定結果に及ぼす影響についても検討した。その結果、塩酸抽出の結果ではいくつかの元素で、分布の自己相関が比較的高い傾向が見られたが、硝酸抽出の結果からは、はっきりした自己相関が認められる元素は少なかった。このことから、塩酸抽出法での結果の方が、汚染源の地域性をよく表している可能性が高いと考えられる。
|