| 研究概要 |
コンクリート充てん角形鋼管を柱に用いた門形骨組に軸力と繰返し水平力を与える実験を行い,その弾塑性性状から,耐震性能を評価する代表的な指標である「構造特性係数(Ds)」を求めた.実験は,変数として1)柱鋼管幅厚比[約21(ランクA),約39(ランクC),および約54(ランクD)の3種],2)柱軸力比[柱降伏軸力に対する比で,15%,30%および50%],3)骨組の崩壊形式[柱降伏型および接合部降伏型]の3種を採用た.本年度は昨年度に引続き,幅厚比ランクDの鋼管(□-125x125x2.3)にコンクリート(Fc=210kgf/cm^2)を充てんしたものを柱に用いた試験体を,軸力比2種(15%,30%)を変数とした計2体および,充てんコンクリートの影響を確認するためのA(□-125x125x6)およびCランク(□-125x125x3.2)の鋼管で,柱にコンクリートを充てんしていない試験体を,骨組の崩壊形式2種を実験変数とした計3体の実験を行った.ただし,コンクリートを充てんしていない試験体のランクCについては接合部降伏型の設計が困難なため,柱崩壊型のみとした.その結果,1)Dランクの鋼管を用いた骨組は,いずれの軸力比においても早期の局部座屈によって最大耐力が決まり,日本建築学会の最大耐力の計算式による値を下回る.しかしながら,最大耐力発揮後の劣化は非常に緩やかで,安定した履歴性状を示す.2)中空鋼管を柱に用いた試験体では,Aランクの柱降伏型のもので柱はり接合部近傍の破断によって急激に耐力が低下し,学会の最大耐力計算値に達しないのに対し,接合部降伏型のものでは安定した履歴性状を示し,最大耐力も計算値を大きく上回る.Dランクでは局部座屈によって最大耐力が決定され,計算値には達しない.3)各骨組のD_s値はコンクリートを充てんすることによって大きく改善される.ただし,柱はり接合部降伏型については,その効果はあまり見られない.などの知見を得た.
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