研究概要 |
実験的研究は概ね昨年度末に終了し、今年度は遅れていた材料試験を実施した。終了した実験としては,(1)H形鋼を用いた2層1スパン骨組(1/5模型)に,層せん断力の比を一定とした交番繰り返し水平力載荷実験を行い、用いた自動制御静的載荷装置が、水平力の劣化域も含めて予想通り作動し、有益なデータが採取された。(2)梁端部の破壊靭性に哀ぼす塑性予ひずみとひずみ速度の影響を見るための小型模型実験では、用いた鋼の材料特性が良好であったこともあり、予ひずみと載荷速度の影響が顕著には現われなかった。この問題は,接合部の一部分を切り出した小型模型試験方法にも問題があり,今後検討をしたい。(1)の実験結果に対する理論解析については、以下のような手法を提示し、解析プログラムを完成し、数値解析を実行した。先ず,梁端フランジ部分を3軸及び2軸のひずみ拘束を受ける部分と1軸応力部分から構成されるものと仮定し、ひずみ集中率と破壊靭性値を導入して、フランジ部分がウエブのつけね部から順次破断していく過程を再現した。このようにして得られた破断過程を,骨組みモデルに導入し、フランジ幅方向に順次破断が進展していく過程を考慮した,骨組み挙動を再現することが可能な解析プログラムを完成し、実験で得られた劣化挙動をある程度再現可能なことを示した。また、圧縮フランジの局部座屈による劣化挙動をモデル化し、破断と局部座屈の相互作用をある程度解明することが出来た。
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