厚い沖積平野に立地するわが国の中枢都市に災害をもたらすと考えられる巨大地震の震源機構、および、それにともなって生ずる強震動の性質についての研究を推進する。強震動の発生・伝播の機構を理論・観測の両面から解明して強震動の解析的再現を試み、かつ、将来発生の予想される巨大地震に対して、都市域の強震動に関する予測手法の系統化と実用化を目指す。さらに、これらの結果に加え、地形・地層構成が複雑に変化する不整形地盤の影響との関連に於て強震動の構造物への入力機構を理論的・実験的に明らかにすることにより、来襲強震動の空間変動特性とその視覚的評価を行ない、破壊能評価のための基礎的知見を得ることを目的とする。 並列計算機を用いて3次元不整形地盤の強震地動を境界要素法により予測し、その強震地動を入力地震動に想定して構造物の耐震安全性を評価するための基礎資料として、強震地動の空間変動特性を視覚的に評価する。本研究で用いる半無限弾性地盤のグリーン関数に基づく境界要素法による3次元不整形地盤の地震動予測法の特色として、(1)任意形状の3次元地層境界の不整形地盤モデルの取扱が容易である。(2)地表面応力零のグリーン関数を用いるため入力波動として表面波の場合にも制約がない。(3)高振動数域でも数値解精度が安定している。などの3点を挙げることができる。境界要素法で堆積盆地の地震動予測する際、要素積分の評価に膨大な計算時間が掛かるが、並列計算機を用いてこれらの数値積分を汎用計算機の20〜30倍の処理速度で評価する手法を開発し、大規模な3次元不整形地盤の強震動予測法を実用化する。堆積盆地状不整形地盤モデルを設定し、3次元応力場として地震波動をSH波、P波、SV波、レイリー波などの各種平面波動、および断層震源から射出する波動による地動周波数応答を境界要素法を用いて求め、高速フーリエ変換を用いて入力地震波に対する時刻歴地動応答を評価する。地動応答に及ぼす地層境界の形状、地層インピーダンス比、入力地震波動の種別、および、盆地内地盤を伝播する表面波等の諸要因の影響を詳しく吟味し、三次元不整形地盤の強震地動を予測する。その強震地動の空間変動特性を地下構造および断層震源の位置も含めて一目で見てとれるように視覚化して評価する。
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