本研究は、充填型鋼管コンクリート構造(以下CFT構造という)の柱に被覆コンクリートを被覆してその柱の構造性能、耐火性能を向上させることとし、さらにその構成要素の材料の組み合わせに注目し、それらの最適な組み合わせを求めようとするものである。すなわち、充填・被覆コンクリートには普通および高強度高流動コンクリート、鋼芯柱にはSTK400、STK490を用いることとし、それらの組み合わせからなるCFT構造の各柱の耐力と変形性能を実験的に求め、激震を受ける高層建築物の柱剤として最適なものを選び出すことを目標としている。 試験体は十字型部分架構で、柱材には円形鋼管にコンクリートを充填・被覆したものとし、梁にはH形鋼を用いた。この研究では柱の構造性能を究めることとしているため、梁断面には余力をもたせることとした。試験体のスケールは実物のほぼ1/2を想定している。本年度の研究として、変化させるパラメータとしては充填・被覆コンクリートに対して普通コンクリート(Fc=210kg/cm^2)と高強度高流動コンクリート(Fc=500kg/cm^2)とし、鋼芯柱についてはφ165.2x7.2(STK400)として変化させないこととした。 実験は広島大学工学部第4類にある実験設備を用いて行った。試験体への載荷はまず鉛直荷重に相当する軸力比20%の定軸力を柱下部に設置したオイルジャッキにより加え、地震荷重に対しては梁両端部に設置したオイルジャッキにより交番火力することとした。各試験体とも紡錘状の復元力特性を示し、良好なエネルギー吸収能力を持っていることが分かった。さらに詳細な実験結果の解析については目下進行中である。
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