住宅の気密性能の向上やシェルター性能の変化に伴い、住宅の換気系各手法の確立が強く求められている。換気設計の中で機械換気に関する研究、開発は数多く行われているが、自然換気に関しては設計手法、換気量の算出の詳細が明らかとなっているとは言い難い状況である。この原因は主に外部環境の把握(特に風向風速と換気量の関係)が困難であるためであるが、本研究の成果によりある程度明らかとなった。 室内外温度差、外部風速と換気量の関係は、風の強い地域では外部風速の影響が支配的であり内外温度差と換気量には殆ど相関が見られなかった。日本海地域は冬季の季節風が卓越し強風が吹くので、開口部の設置に際しては注意が必要である。気密性能と換気量、室内に生じる上下温度差の関係は、気密性能が向上すると換気量はほぼ隙間の有効開口面積に比例して減少すること、上下温度差も隙間の有効開口面積の減少に伴い少なくなることが明らかとなった。更に、気密性能の向上は室間の温度差を少なくすることにも効果が高いと考えられ、室内の熱環境を改善する上で重要な要素であると考えられる。 気密性能の向上は換気量の減少を引き起こすので、室内の空気環境の観点からは不利であり、自然換気量の減少を補うための機械換気設備の設置が必要不可欠であると考えられる。
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