住宅の気密性能の実態調査、自然換気特性に影響を及ぼす上空の風の性状、隙間をモデル化した独立住宅を対象とした自然換気量と外部風向風速、室内外温度差の関係に関する実大実験を行い、独立住宅の自然換気特性を明らかとし、住宅の気密性能の選定を行う際の資料を蓄積した。 新築住宅では気密性能のグレードは相対的に高く、隙間の有効開口面積で2cm^2/m^2以下の住宅が多く、住宅の気密化が進行している。気密性能は加圧法、減圧法の両方で測定を行ったが、両者の差は大きな違いは見られなかった。 上空風の鉛直分布の実測調査をドップラーソーダ風速計を用いて行ったが、鉛直分布のべき指数は0.2〜0.8と極めて大きな範囲に分布しておりばらつきが大きい事が明らかとなった。海岸から風が吹く場合と市街地から風が吹く場合ではべき指数に違いが見られ、海岸から吹く場合の方が平均的にはべき指数が小さくなる傾向が見られるが、両者ともばらつきが大きく風速や大気の安定度によってべき指数は変化すると考えられる。 住宅の自然換気量は室内外の温度差と外部風速に影響されるが、風の強い地域では内外の温度差よりも外部風速の影響を強く受けることが明らかとなった。気密性能と室内に生じる上下温度差の関係を明らかとし、気密性能が向上に伴う自然換気量の減少に対しては、機械換気の導入など自然換気の現象を補う何らかの設備が必要である。
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