研究課題/領域番号 |
08455276
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柏原 士郎 大阪大学, 工学部, 教授 (70029164)
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研究分担者 |
阪田 弘一 大阪大学, 工学部, 助手 (30252597)
横田 隆司 大阪大学, 工学部, 助手 (20182694)
吉村 英祐 大阪大学, 工学部, 助教授 (50167011)
森田 孝夫 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (90107350)
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キーワード | 地震 / 避難所 / 地域施設 / 転用 / 圏域 |
研究概要 |
本年度は、兵庫県南部地震の被災地で避難所となった学校や公共施設を対象として実態調査を行い、地域住民の避難行動からその避難圏域を明らかにするとともに、避難所運営を経時的に調査することで避難形成・消滅過程を明らかにすることを目的している。本研究で明らかになったことは以下の通りである。 1.火災が発生しなかった灘区を対象として避難圏域を調査した結果、全体としては各避難所の90%避難圏は1Kmまでとほぼ小学校区に収まっており、従来の防災計画で設定されていた広域避難とは全く異なっていることがわかった。また、保育所、小・中学校、高校、その他の施設種類別に避難圏は異なっている。 2.火災が発生した長田区を対象として避難圏域を調査した結果、火災が発生しなかった地域は灘区とほぼ同じ結果が得られた。そして火災が発生した地域では、延焼火災から反対の方向へ避難したことがわかった。このように火災の有無で避難行動が異なることから、避難所は複数施設の中から選択可能とする必要がある。 3.学校施設を対象として避難拠点の形成・消滅過程を調査した結果、地震発生からの時間の経過により避難所運営には何段階かの変化がみられ、その過程をスムーズにするには建物の建築計画も大きく関与することがわかった。したがって救援側も、建物の空間構造に応じて、こうした変化に対応する必要がある。 4.公共施設を対象として避難拠点の形成・消滅過程を調査した結果、オープンスペースを確保できた避難所は運営が容易であったこと、さまざまな空間が避難所の運営に必要な機能に転用されていたことがわかった。したがって避難所に指定される公共施設には、オープンな空間と機能転用しやすい建築計画が求められる。 以上の結果より、避難所の配置計画や建築計画にとって貴重な知見がえられた。今後は、これらの実態をもとに、モデル的な提案を行うよう研究を進める予定である。
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