10年度報告用 本研究は、今後需要の減少が懸念されている杉・檜といった比較的小径木の戦後植林材を、構造材と仕上げ材を兼ねたものとして多量に用い、木材の優れた性質を活かした構法の開発を進めようとするものである。 本年度は、昨年度、一昨年度の成果を基に、4寸角の杉材を柱・梁としたトンネル状架構の実物モデルについて建方実験を行った。今年度は外観デザインの変化及び施工性の低減を主な検討項目とし、柱ピッチを大きくし18cmで施工実験を行った。真壁の納まりとなる部分に関して、柱の建て込みと同時に壁材を施工する方法と柱建て込み終了後に壁材の施工を行う2パターンの施工実験を行った結果、後者の方が前者の2/3程度の時間で施工できることが明らかになった。また、柱間寸法の精度確保においても、柱建て込み後タイプの有効性が確認できた。さらに、柱間を広げたことによる意匠上の効果、特に連続性についても、3cmと比べ著しい相違が生じないことがわかった。 これらの実験結果を基に、部材の品種数の低減を念頭においたシステムの再構築を行い、最終的な提案としてのモデル住宅の設計を行った。その結果、本構法を取り巻く、使用面、構造面、施工面、生産流通面における問題点及び課題が明らかとなった。また、今後の正角材を用いた構法を開発する際の有用な資料を示した。
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