現代の日本住居はいちじるしく閉鎖化しつつあり、近隣生活の安定、親しみある街なみ等を失っているとの認識の下に、実態調査、計画者からのヒアリングを行い、住居の閉鎖化打開の道を考察している。 1.実態調査 (1)現代の一般的住居として、◯福井県嶺南地方の集落 ◯神戸西神ニュータウン、学園都市ニュータウンの住宅群 等、 (2)住居集合形態について特色ある計画事例として、◯大阪府営八田荘団地 ◯同 吉田住宅 ◯茨城県営六番池住宅その他 ◯熊本県営龍蛇平団地その他 ◯岡山県営中庄団地 ◯住都公団西宮名塩ニュータウン 等につき、見学・調査を行った。 2.ヒアリング (1)安原秀氏(建築家、コ-ポラティブ住宅の計画)(2)小林秀樹氏(建設省建築研究所、集合住宅の発展における社会的条件の影響、準借地権付き利用権分譲方式集合住宅の計画)(3)遠藤剛生氏(建築家、集合住宅設計)(4)大月敏雄氏(横浜国立大学助手、同潤会住宅の変遷)について聴取した。 3.分析・考察 以上の調査、ヒアリングから、住居の好ましい開放性と生活の近隣性を導く条件として、次の諸項目があげられる。(1)住戸内から共用空間への連続性 (2)接地感覚 (3)住戸近傍空間の適切なスケール。(4)囲み型配置 (5)住戸プランの向きと戸外空間との関連 4.今後の展開 さらに調査・ヒアリング・考察を継続するが、とくに阪神大震災後の復興住宅建設において、大量・迅速・工費節減・耐震・安全に追われるあまり、心の安定、コミュニティの形成維持、近隣性などの生活面への配慮に背を向けた事例が多い。これについてもモデル的提示を行い発言したい。
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