1.大工棟梁、請負人、建設企業に関する基礎資料の収集と整理: (1)本研究分担者角幸博の北海道戦前期の建設業者に関する予備的調査で収集済みの、明治前期の請負業者、諸職人98名、明治後期の主要請負業者59名をもとに、これに10数名を加えて、各データの補足を行ない、全体をデータベース化した。 (2)うち特に、北海道で重要な役割を果たした旧越後出身の大工棟梁について、そのルーツや主業績の調査を行なった。その概要は1997年8月日本建築学会論文報告集に『北海道における越後大工の活動』として報告した。 2.建設企業の詳細調査: (3)北海道の近代建設企業を代表する(株)伊藤組について、創業者の渡道以降の事跡、社業の整備と事業展開について詳細な調査を行なった。その成果を1998年2月『伊藤組百年史』として刊行した。 (4)北海道と密接な関係をもちながら未調査であった南サハリンの旧日本統治期の建築について調査を行ない、特に当地で主導的な建設業者であった遠藤米七の事跡を初めて明らかにすることができた。 3.特定建築工事にかかわる諸業者および諸職人の事例調査: (5)明治後期から昭和初期にかけて一貫した史料を遺している北海道大学関係営繕資料について、各建築工事の工事契約、施工実施形態、工事関係者の組織形態などについて整理した。 (6)明治期の北海道西沿岸部の民家建築事例を調査し、これにかかわった大工棟梁について基礎史料を得た。
|