研究課題/領域番号 |
08455285
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
丸川 健三郎 北海道大学, 工学部, 教授 (20001191)
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研究分担者 |
高間 俊彦 北海道大学, 工学部, 助教授 (40001309)
土谷 浩一 北海道大学, 工学部, 助手 (50236907)
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キーワード | 形状記憶合金 / マルテンサイト変態 / 合金規則度 / ゴム状弾性 / 安定化現象 |
研究概要 |
本研究は形状記憶合金においてゴム状弾性と呼ばれている擬弾性現象と安定化現象として知られる記憶消失現象とについて、それらの原因を原子論的レベルにおいて解明することを第一の目標とした。申請者らはこれらの現象の現れる原因がともに合金の短範囲規則度変化にあると考えているが、このモデルを実証するために実験的にまた理論的に研究を行っている。この研究によって現在までに以下のようなことが明かになった。 (1)これらの現象は銅合金においては室温から373K程度の低温時効熱処理によって発現する。 (2)変形応力として測ったゴム状弾性の強さの増大は、低温時効による試料の電気抵抗率の減少と強い相関がある。両者の変化の時定数はほぼ等しい。 (3)逆変態温度によって評価した安定化の度合いの変化も、ゴム状弾性および電気抵抗率変化とほぼ等しい時定数を持っている。 (4) X線回折実験によれば時効熱処理によって長範囲規則度は低下する。一方、この時効によって電気抵抗率が低下することは短範囲規則度が上昇することを示している。 (5)クラスタ変分法及びモンテカルロ法による規則度変化の理論的シミュレーションによれば、時効熱処理の条件によっては長範囲規則度が低下するにも拘らず、短範囲規則度が上昇する場合がある。 (6)以上により、ゴム状弾性および安定化現象は長範囲規則度の変化とは直接関係はなく、主として短範囲規則度の変化が原因であると結論できる。
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