本研究では本来、平衡状態で規則合金相をもたないAu-Fe合金系に注目し、AuとFeを1原子ずつ交互に積層して、人為的な規則合金を作製した。作製には、単原子積層用に改良した金属用分子線エピタキシ-装置を用い人工的にAu‐Fe系L1_0型規則合金を創製することができた。平成9年度は特にこの人工規則合金の熱安定性について調べることを主な目的とした。X線回折法を用いてアニール前後の試料の超格子反射強度から構進変化を調べた結果、200℃において20時問程度アニールするとL1_0型規則相は準安定な不規則相に変化した。さらに、長時間のアニールを行なえば平衡状態図に示されたFeとAuとに2相分離するはずであるが、このような低温では拡散係数が小さいので、200時問程度のアニールでは平衡相に至らなかった。また、拡散係数の測定を行なった結果、1.7X10^<-25>m^2s^<-1>と評価された。
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