研究概要 |
本年度は,B2型およびL1_2型規則合金にまとをしぼり,陽電子消滅法により原子空孔濃度の測定を実施した.温度よる空孔濃度変化の計測に加え,化学量論組成からのズレによる空孔の有無とその形成条件についても測定を進めた.本年度実績は以下のように要約される. 1.不規則Ni_3Fe相のL1_2型規則合金への規則化過程において,異常空孔形成現象を発見した. 2.B2型金属間化合物CoTi中では,化学量論組成からのズレによる組成的空孔が存在しないこと,およそ0.4Tmという低温から熱平衡空孔による陽電子寿命の上昇がみられることを見い出した.またB2規則相FeAlと同様,熱平衡空孔が極めてぬけにくいことが明かとなった. 3.B2規則相NiAl中では,構造的空孔が化学量論組成やNi過剰側にも存在することが明かとなった. 今後は, 1.B2以外のbccを基礎とする規則構造を取り上げる一方,L1_2以外のfccを基礎とする規則構造についても測定を行う. 2.高濃度不規則合金の空孔濃度の組成依存性を系統的に測定する. これらの結果に基づき,金属間化合物や規則・不規則合金中の組成的空孔の有無や熱的空孔の形成エンタルピーを系統的に明かにする.
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