研究課題/領域番号 |
08455296
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山根 正之 東京工業大学, 工学部, 教授 (40016382)
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研究分担者 |
矢野 哲司 東京工業大学, 工学部, 助手 (90221647)
柴田 修一 東京工業大学, 工学部, 助教授 (00235574)
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キーワード | 界面重合反応 / ゾルゲル法 / ガラス厚膜 / 光導波路 |
研究概要 |
界面重合反応を用いた光導波路用の高品質のシリケートガラス薄膜の作製について、より低温で焼結・無孔化するための作製条件を明らかにすることを主眼に研究を行った。初年度では、界面重合反応によるゲル膜生成メカニズムを明らかにする目的で、前駆体としてシリコンエトキシドの誘導体であるエチルシリケート40のヘキサン溶液を用い、ヘキサンに対する溶解度が異なる種々の触媒の存在下で膜の生成速度を定量的に調べた。その結果、ゲル膜を構成するシリカ微粒子の核生成と成長は、界面に接した有機溶媒中で進行し、ヘキサンに対する溶解度の高い塩基性触媒のトリエチルアミンを用いることが有効ということが示唆された。トリエチルアミンを用いた成膜の調査では、前駆体濃度20%(容積)、前駆体/触媒比(容積)0.2-0.8、室温で24時間反応させると90%以上の収率で再現性よく膜が得られることがわかった。得られた膜の微細構造を走査型電子顕微鏡で観察したところ、膜を構成する粒子は大きく、シリコン基板上に形成した後に焼結・無孔化を行うのは困難であるため、ホウ素やゲルマニウムを添加して焼結温度を下げる必要があることがわかった。 前年度の結果から、第2成分にホウ素を取り上げ、添加によるゲル膜の生成・焼結温度の変化について調査した。テトラメトキシシラン、トリメチルボレートを部分加水分解させてSi-O-B結合を有する前駆体を作製し、トリエチルアミンを触媒として用いて成膜したところ、組成・膜厚など再現性の高いゲル膜が得られた。原子間力顕微鏡による観察では、ゲル表面は優れた平滑性を有していることも分かった。ゲル膜は1100℃で無孔化・焼結することが確認され、ホウ素成分の添加は、焼結温度の低下に有効であることがわかった。今後、焼結過程でのゲルの収縮の抑制など、良質なガラス膜を得るための最適化が検討課題として挙げられた。
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