研究課題/領域番号 |
08455297
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田邊 靖博 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (70163607)
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研究分担者 |
赤津 隆 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (40231807)
安田 榮一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (70016830)
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キーワード | 炭素前駆体 / 無機化合物添加 / 力学特性 / 化学特性 |
研究概要 |
本研究は、申請者らが見出した炭酸前駆体への無機化合物添加による組織制御の機構解明と、炭素材料の化学特性(本研究では酸化消耗)、力学特性と組織との関係を検討する事を目的としている。 具体的には、添加微粒子表面の酸性官能基の有無、粒径、形状がマトリックス組織(黒鉛化)あるいは材料特性に与える効果について研究を進めている。また、研究室レベルとしては大型の酸化処理炉を構築した。この炉を用いて合成試料に加えて種々の組織を有する市販の黒鉛材料ならびにC/C複合材料の酸化減量特性の測定を行い、酸化消耗が力学特性に及ぼす効果を検討している。この結果、バルク材料の酸化は、表面から内部に渡って勾配を有することが分かった。この酸化量勾配を定量化する目的で、材料試験機(現有設備)に応力-歪み曲線の測定が微小領域で可能な自作装置を接続した。この装置を用いて、微小領域での力学特性の測定を開始した。また、現在、酸化試料後の剪断強度測定を進めている。 昨年度構築したシステムを用いて各種試料の酸化処理前後の表面を各種倍率で観察して、形状データとして取込みを行った。その結果、フラン樹脂炭の酸化はスポットが拡大する形で進行していることが観察され、添加粒子の酸加速度および界面の酸化速度がマトリックスよりも速いことが示唆された。さらに、スポット形状を有する酸化表面層は、内部層との密着強度が低くなることが分かった。炭素微粒子上の表面官能基の有無が、マトリックス組織に大きな影響を与えていることは光学顕微鏡からは確認できなかった。しかし、顕微ラマン分光測定の結果、マトリックス中の結晶子の成長に違いがあることが示唆されるデータが得られた。マトリックスの組織制御機構を理解する上で貴重なデータであると考えている。
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