AgGaS_2試料をダイヤモドアンビル内に装着し、高圧相の真の対称性をカメラ法によって決定した。空間群はCcであり、単斜晶系をとることを明らかにした。放射光実験施設ビームライン14Aに設置された水平型四軸X線回折計を用い、0.5Aの波長の光を用いて小型ダイヤモンドアンビル中で5.5GPaに加圧されたAgGaS_2結晶の回折強度データを収集し、その原子配列を決定した。 4.2GPaにおけるAgGaS_2の相転移は可逆的におきる構造相転移である。構造からみたこの相転移の大きな特徴は、この構造中にダイヤモンド型構造と共通してみられる大きな八面体型空隙の圧縮的な変形にある。またイオン性に富んだAg-S結合と共有性に富んだGa-S結合の違いが相転移点で競合的に現れる点も興味深い。ダイヤモンドアンビルの装着に起因する測定上の種々の問題点を解決するため、高圧測定専用のデータ収集プログラムの開発を試みた。また、一般的な測定のための制御ソフトウェアを開発した。さらに、直径0.1mm程度の球状に整形したInCuSe_2試料を使用し、現有する回転対陰極X線発生装置と四軸型単結晶X線回折計、およびCCDカメラ法による回折データの比較を行い、その優劣と適性を明らかにした。また、In過剰な組成であるCu_2In_4Se_7結晶の構造を解明し、カルコパライライト型構造をとるCuInSe_2との比較から、太陽電池等のデバイス応用のための良好なpn接合を得る方法を明らかにした。また、AgGaS_2結晶の育成時にしばしば現れる変形双晶を結晶学的立場から解明した。
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