研究課題/領域番号 |
08455299
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山内 尚雄 東京工業大学, 応用セラミック研究所, 教授 (50271581)
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研究分担者 |
末松 久幸 東京工業大学, 応用セラミック研究所, 助手 (30222045)
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キーワード | Sm-123 / 超伝導 / 臨界電流密度 / ピーク効果 / 酸素欠損 / 双晶境界 / ピン止め中心 |
研究概要 |
陽イオン比が非化学量論組成のSm_<1+x>Ba_<2-x>Cu_3O_y(x=0.3:Sm-123)超伝導体を0.1%O_2+Arガス中で固相反応法により合成し、O_2気流中で焼鈍した後、超伝導特性を測定した。化学量論組成の試料の場合と同様に、臨界電流密度(J_c)は77K、1Tでピークをもつことがわかった。この試料を透過型電子顕微鏡により観察したところ、Nd_<1+x>Ba_<2-x>Cu_3O_yで報告されているような陽イオンの濃度変調は見られなかった。一方、エネルギー分散型X線分析装置による組成分析を行ったところ、Sm:Baの比率は1.0:2.0と化学量論組成に近くなっていることがわかった。さらに、SmBa_2Cu_3O_<7-d>の包晶温度近くのSm-Ba-Cu-O系の状態図を作成したところ、100%O_2中より0.1%O_2+Ar中の方がSm過剰のSm-123の存在する固溶域が狭くなっていることがわかった。このために、低酸素分圧下合成では、Sm-123の陽イオン比が化学量論組成に近づくことが判明した。また、陽イオン比が化学量論組成のSm-123では、酸素欠損によってJ_cのピーク効果が現れることが昨年度の研究によりわかったため、非化学量論組成のSm-123でも酸素欠損による磁束ピン止め力が77K、1T付近で支配的になっているものと予想された。酸素欠損による磁束ピン止め力が他の"123"超伝導体でも働いているのではないかと考え、可変酸素分圧溶融擬固法によりY_2BaCuO_5を第二相として含むY-Ba-Cu-Oバルク体を作成した。このJ_c-vs-H特性は65^〜77K、2^〜4Tでピークを示した。このバルクを透過型電子顕微鏡により観察したところ、J_cのピーク値が高い試料の方が双晶境界の間隔が狭いことがわかった。このため、酸素量の局所的な違いにより双晶境界の間隔が変化し、Y-123では双晶境界がピーク効果を生じるピン止め中心として働いていると考えられる。
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