研究課題
基盤研究(B)
高温超伝導体の非化学重論的陽イオン組成をもつ相や、第二相による量子化磁束ピン止めと酸素欠損相によるピン止め効果を分離するために、化学量論的陽イオン組成をもつSmBa_2Cu_3O_<7-□>の合成を行い、酸素量を調整することによって異なる酸素欠損領域の量を持つ試料を作製した。ラマン分光、粉末エックス線回折、およびそのRietveld解折の結果から、化学量論的陽イオン組成を持つSmBa_2Cu_3O_<7-□>試料の作製に成功したことがわかった。酸素量:7-□=6.84の試料は77K、1Tで10kA/cm^2のJ_cをもち、さらにピーク効果を示した。一方、7-□=6.89および6.95の試料はJ_cは低くピーク効果を示さなかった。すなわち、これまでの説とは異なり、SmBa_2Cu_3O_<7-□>では酸素欠損領域がピーク効果を引き起こす、ある種のピン止め効果を生じていることがわかった。YBa_2Cu_3O_<7-□>のいまだ未知のピーク効果の起因を突き止めるために、申請者らが新たに開発した広範囲高分解能透過電子顕微鏡(LA-HRTEM)法などの革新的な透過型電子顕微鏡(TEM)観察技法を駆使した。また、エネルギー分散型エックス線分析可能なLA-HRTEM用試料作製法を新たに開発した。独自に開発した「可変酸素分圧溶融凝固法」を用いて作製したY-Ba-Cu-O超伝導バルク中の第二相の粒径と双晶境界の間隔のLA-HRTEM法によるデータを統計的に調べたところ、低磁場でのJ_cは第二相であるY_2BaCuO_5粒子とYBa_2Cu_3O_<7-□>超伝導マトリックスとの界面の面積に比例し、高磁場でのJ_cは、双晶境界の間隔に反比例することを解明した。そのため、従来言われてきたようなY_2BaCuO_5粒子のピーク効果への寄与は皆無であり、双晶境界、あるいは、それに起因する酸素欠損領域の大きさと分布の様子がピーク効果の発現に強く関与していることがわかった。さらに、ピーク効果の発現と消滅を再現できる熱処理プログラムの確立に成功し、材料設計指針の正しさを実証した。
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