研究課題/領域番号 |
08455301
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
高橋 康隆 岐阜大学, 工学部, 教授 (00023177)
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研究分担者 |
伴 隆幸 岐阜大学, 工学部, 助手 (70273125)
大矢 豊 岐阜大学, 工学部, 助教授 (80167311)
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キーワード | ゾル-ゲル法 / ジエタノールアミン / 多層膜効果 / ITO膜 / 二価イオンのド-ピング効果 / 湿度センサー / 透明導電薄膜 |
研究概要 |
酸化インジウムをベースとする酸化物薄膜、特にITO薄膜は透明導電材料として現代のエレクトロニクスには不可欠の材料であり、特性の優れたITO薄膜を安価で効率のよく合成する方法を模索することは非常に重要な研究課題の一つである。本研究では、主として、酢酸インジウムを原料とする有機系ゾルと水酸化インジウムを含む水系ゾルを用いるゾル-ゲル法による酸化インジウム及びITO薄膜の合成プロセスとそのプロセスで得られる膜の特性について研究した。得られた結果は次の通りである。 (1)有機系ゾルの方が良質の膜を与え、その電導度も高い(最高値は約2500S/cm)。これは、水系ゾルから得られた膜はよりポーラスであることによるが、この膜はセンサーへの応用に適していることを示す。(2)膜のキャリヤ-密度及び易動度と膜のモルホロジーとの関係を検討したところ、膜の電導度は主として易動度によって制御されていること、またそれは構成する酸化インジウムあるいはITOの結晶子サイズと関係していることが判った。(3)また、この結晶子サイズを大きくする方法として、熱処理温度を上げること及び薄膜の多層コーティングが有効であるが、低温で結晶子サイズを大きくするには後者の方法が非常に有効であり、これはエピタキシャル効果に基づくものと判断できる。(4)酸化インジウムにMn、Ni及びCoなどの金属イオンをドープすると膜の電導度は急激に低下するが、水蒸気を含む空気と接触するとその電導度は急速に数桁に渡って増大し、また乾燥空気中では急速に減少する傾向を示す。また、この特性は可燃性ガスが共存しても影響を受けないので、これらの膜は選択的で高特性の常温湿度センサーとして利用できる可能性をもつ。(5)以上とほぼ同様の傾向は酸化スズや酸化亜鉛などの他の透明導電性膜にも認められる。
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