プラズマ溶射装置を用いてスポンジ状ニッケル板の両面にアルミニウムを溶射し、600〜750℃で熱処理してラネ-合金を界面に作製した。次に20%KOH水溶液で合金板を展開してラネ-触媒とし、メタノールおよびヒドラジン燃料電池用電極とした。分極抵抗は合金生成温度および電解液の濃度が高いほど低く(0.5〜0.2Ω・cm^<-2>)なり、高性能の分極特性を得た。また、ヒドラジン燃料電池の方がわずかなながら性能が良かった。この高性能の分極特性は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察による活性層の増加、X線回折(XRD)による格子不整の増加およびBET比表面積の増大に基づくものと考えられる。 板状ラネ-ニッケル触媒表面をX線電子分光法(XPS)を用いた解析した結果、表面から200Åの深さまではNi_2O_3またはNi(OH)_2が存在し、アルミニウムはAl_2O_3またはAl(OH)_3として少なくとも1200Åの深さまで均一に分布していることが分かった。また、X線吸収微細構造(XAFS)分光法を用いて表面活性層を解析した結果、ニッケルのK吸収端近傍スペクトル(XANES)では、活性を有するラネ-ニッケルは通常のニッケル金属のスペクトルと同じ位置にあるが、合金のスペクトルとは明らかに異なっていた。XAFSの解析から、通常の金属ニッケルは12配位であるのに対し、ラネ-ニッケル触媒では配位距離が同じであっても6配位となり、格子不整が多く存在していることが示唆された。これはX線回折から求めた結晶子の大きさが触媒では120〜250Åであることとよく一致する。
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