本研究では、強化材の表面に化学修飾法や遊星ボールミル法により化学物質をドープして界面結合を操作し、複合体を作製し、その界面の組織や構造と機械的性質の関係を原子的レベルにまでおよんで調べた。結果は以下の通りである。 (1)TiO2粒子分散Al複合材料の界面構造の解析:アルカリ金属およびアルカリ土類金属を遊星ボールミルを用いてTiO2粒子にドープし、Alとの複合材料をスクイズキャスト法により作製した。また、その後の熱処理による硬化過程あるいはその促進過程、微細構造の変化を原子的レベルまでの観察により明らかにした。ドープをすることにより、TiO2粒子表面にはアルカリ金属およびアルカリ土類金属とTiの複酸化物層が形成しており、この層を介してAlとTiO2が低温で反応し、Al2O3を形成することが分かった。 (2)TiO2とAlの接合:TiO2板表面にNaCO3を溶解させ、焼成する、あるいは、真空蒸着法することによりその表面にNaTi6O13の層を形成させた。この表面改質したTiO2板とAl板との接合を試み、600℃での低温で強固な接合を可能とした。 (3)α-Al2O3粒子分散Nb複合材料の作製と界面組織の解析:α-Al2O3粒子とNaCO3粒子あるいはCr粒子をボールミルにより混合、焼成することによりAl2O3粒子表面に厚さ数百nm以下のβ-Al2O3層あるいはCr層を形成させる事ができた。これをNbと混合してホットプレス焼結することにより分散性の良い複合材料を得た。 (4)α-Al2O3とNbの接合:α-Al2O3板表面にNaCO3によりNa元素を化学修飾させ、焼成する事によりβ-Al2O3層を形成させ、ホットプレスによりNb板との固相接合を行った。β-Al2O3層を薄くすることにより接合強度は上昇した。β-Al2O3層とNbは原子レベルで整合性の良い界面を形成していた。
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