研究課題/領域番号 |
08455320
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
北川 和夫 金沢大学, 工学部, 教授 (30019757)
|
研究分担者 |
北 和久 金沢大学, 工学部, 助手 (10195240)
兼子 佳久 金沢大学, 工学部, 助手 (40283098)
VINOGRADOV A 金沢大学, 工学部, 助教授 (10283102)
門前 亮一 金沢大学, 工学部, 助教授 (20166466)
|
キーワード | 疲労き裂 / 粒界構造 / 双結晶 / 銅合金 / Σ3(111)双晶境界 |
研究概要 |
粒界構造は、粒界すべり、粒界腐食、応力腐食割れなどの工学上重要な性質に重大な影響を及ぼす因子であることとが知られている。本研究は銅合金について、粒界に何らかの析出相を含む場合を想定し、そのときの疲労き裂進展挙動におよぼす粒界構造の影響について検討することを目的としている。これまでに疲労き裂の進展を結晶学的に説明するモデルはいくつか提案されてきたが、粒界を進展する疲労き裂についてはいまだに確率されたモデルは存在しない。しかし、粒界疲労き裂はそこに吸着された酸素がその進展を助長しているとするき裂進展モデルが報告されている。以上の背景をもとにして、Σ3(111)双晶境界を基本とする銅双結晶を用いて、粒界疲労き裂伝播に対する粒界構造依存性を調査した結果、以下の結論を得た。 (1)ずれ角0度の双結晶では、き裂は粒界を進展しなかったのに対し、5度および10度の双結晶では粒界を進展経路とするき裂が観察された。したがって、粒界疲労き裂の進展は粒界構造に依存するものと推察される。 (2)粒界を疲労き裂が進展しているときには、すべりステップ溶解モデルと類似した進展形態を示した。この結果から、大気中の粒界疲労き裂の進展機構として本モデルの適用は妥当であると言える。 (3)粒界エネルギが高い粒界、すなわちずれ角10度の双結晶においては、粒界以外にPSBに沿ったき裂が観察された。これは疲労き裂の進展経路は、粒界構造のほかに、成分結晶のすべり活動の容易さと密接に関係していることを示唆している。
|