研究課題/領域番号 |
08455321
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
黒田 光太郎 名古屋大学, 工学部, 助教授 (30161798)
|
研究分担者 |
坂 公恭 名古屋大学, 工学部, 教授 (90023267)
|
キーワード | 透過電子顕微鏡法(TEM) / 断面TEM観察 / 平面TEM観察 / 分析電子顕微鏡法 / Ni-水素電池 / 水素吸蔵合金 / 集束イオンビーム(FIB)加工 / 微粉化 |
研究概要 |
ニッケル基の水素吸蔵合金は水素エネルギーの利用できる材料として、多くの研究が行われてきた。その中で、ニッケル-水素電池は1990年に世界に先駆けて、この国において実用化され、1994年には国内で約2億個が生産されるに至っている。それとともに、電池への要求も一段と厳しくなり、この電池の用途拡大にはより一層の高性能化が不可欠になってきている。2次電池電池の負極材料に利用されるニッケル基の水素吸蔵合金は水素の吸収と放出をくり返すうちに微粉化する問題があり、性能劣化を引き起こす。この微粉化の原因にはいくつかの説があるが、まだ詳細は不明である。本研究においては、透過電子顕微鏡のキャラクタリゼーションにより、微粉化に伴う構造変化を微視的レベルで解明し、その防止対策の指針を得ることを目指している。 本年度は、Mg-Ni系合金について調べた。急冷凝固後、熱処理を加え、Mg_2とMgの2相組織となる試料に水素吸蔵および放出を施した。粉砕および集束イオンビーム(FIB)加工によって透過電子顕微鏡観察試料を作製し、分析電子顕微鏡法を駆使して微細構造観察を行った。この試料は573Kで水素処理を行うので、室温において水素の出入りが生じず、水素吸蔵による構造変化を観察するのに都合よい。水素吸蔵処理を施した試料で、微細な組織のまま水素化物を形成している領域と、熱処理によって結晶粒成長が生じながら水素化物が形成されている領域とが観察された。水素吸蔵・放出を5回くり返した試料では微粉化が顕著で、水素の出入りに伴う歪みの影響で粒界における分離が生じたと考えられる。水素化物が形成された領域は電子線照射によってアモルファス化することが観察された。FIB加工は微粉化した試料を電顕観察可能にするのに有効であることも確認された。
|