研究概要 |
1 鋼及び準安定β型チタン合金の中間段階組織の形成 低炭素鋼の上部ベイナイトに関し,ベイナイトの晶癖面,フェライトとともに析出するセメンタイトの結晶学的特徴を解析した。これらの知見に基づき,相分解過程において格子の変化は生成相/母相界面における個々の原子の独立ジャンプによって生じるが,それによって発生する弾性歪を転位の運動,すなわち,格子不変歪で緩和すると言うShear-assisted Diffusional Transformation Modelを構築した。 更に,Fe-Cr-C合金では,しばしば,ベイナイトに類似した針状組織が形成されるが詳細な結晶学的解析によると,これは拡散型の共析変態でありベイナイトとは全く異なることを明らかにした。 2 非鉄合金における時効・析出過程の結晶学的解析 準安定β型チタン合金のβ単相域から氷水中への焼入後の時効過程の組織変化をω相の生成とそのβ→α変態,あるいはβ→α"マルテンサイト変態への影響と言う観点から検討した。その結果,ω相粒子はウィドマンシュテッテンα相の核生成位置になるため,組織制御に適用できる可能性を示すことができた。また,α"マルテンサイトの生成はω相析出によって抑制されることが明らかになった。 Al-Li系合金の時効初期段階は組成の分配が生じることなく規則化する過程であるcongruent orderingの存在をHRTEMで検討した。imaging plateを用い画像をフーリエ変換および逆フーリエ変換することにより詳細な組織解析が可能となりcongruent orderingの過程が存在する可能性が高いことを示した。
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