本年度は、ガラス中の欠陥から発生する超音波の可視化と解析が可能となるように、従来の応力波可視化装置の改造、調整に重点を置いた検討を行った。 1.板厚20mmのガラスをCT試験片の形に加工し、現有の引張り試験機で破壊靭性試験を行ない、スリット欠陥の先端に欠陥を導入した。ガラス試験片にき裂を導入する技術は、現在確立されておらず、安定してき裂を成長させることは極めて難しい。本研究では、当初からこの試験片の製作の可否が、研究のかぎを握ると考えており、現在なお試作を続けている。当初の計画より少し遅れているが、技術の蓄積で、現在ほぼ試験片の政策できるめどが立った。 2.現有の応力波可視化装置の光学系を試験機に取り付けられるように改造し、ストロボ光源の同期を、超音波発生直後となるようなPZTを使ったトリガー系を電子回路で作製し、欠陥で反射する超音波を可視化した。可視化された超音波は、超高感度のカメラとフィルムで撮影し、現有の画像解析装置で波形を解析できるようほぼ改造を終えた。 3.超音波センサーで受信した、超音波の受信波形は、購入したデジタルオシロスコープを波形デジタイザとして記録し、可視化像からの超音波波形と比較できるようにした。 以上、き裂導入ガラス試験片の作製がやや遅れているが、それ以外は測定の準備を当初の計画通り整えた。次年度はこれを受けて、完成したガラス試験片と構成した測定システムで、可視化法により超音波探傷試験の波形解析を行う予定である。
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