研究課題/領域番号 |
08455328
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
粉川 博之 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10133050)
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研究分担者 |
佐藤 裕 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00292243)
佐藤 嘉洋 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00170796)
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キーワード | ステンレス鋼 / 容接・接合 / 表面改質 / 窒素 / 熱力学 / ミクロ組織 / 相変態 / 耐食性 |
研究概要 |
ステンレス鋼の溶接・接合及び表面改質過程における窒素の吸収及び放出挙動は、オーステナイト/フェライト相比や個溶及び窒化物析出を左右し、ミクロ組織及び諸性質に極めて大きな影響を与える。従って、同過程における窒素の挙動の制御が溶接・接合及び表面改質部の諸特性の改善に有効と考えれるが、その基礎的な情報は少ない。そこで本研究は、窒素ガスを含む種々の溶接雰囲気下で各種ステンレス鋼の溶接・接合及びレーザ表面改質を行い、諸性質の変化を系統的に調べることによって、ミクロ組織を制御するための基礎的資料を得ることを目的としている。平成9年度は、熱力学に基づいてアーク溶接における鉄合金の窒素吸収の定量予測式を構築しステンレス鋼に適用した。また、二相ステンレス鋼の耐食性に及ぼす窒素の影響を調べ、以下の結果を得た。 1)溶融池の温度を液相線より100K高いと仮定して合金組成の関数として表し、その温度での窒素0.1MPa雰囲気における平衡窒素溶解度を求め、溶接金属の窒素量の実測値との差をCr量の関数で表し、鉄合金溶接金属の窒素の定量式を作成した。それをアルゴン窒素混合ガス溶接雰囲気の場合に拡張し、ステンレス鋼溶接金属の窒素量の場合に適用した結果、実測値と良く一致した。 2)雰囲気中の窒素分圧を制御することによってSUS329J1二相ステンレス鋼溶接金属中のオーステナイト/フェライト相比を大きく変えることができた。また、溶接金属の耐食性は窒素量が増加するほど向上した。窒素吸収による耐食性向上の原因を、オーステナイト/フェライト相比、合金成分の分布、窒化物析出などの観点から検討した。
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