研究概要 |
酸化物粒子分散強化メカニカルアロイ(以下では、mechanical alloy あるいは mechanical alloying をMA と略記する)・フェライト(Fe-17%Cr)鋼の強度特性に対する酸化物種及びMAプロセスの影響を解明する目的で研究を行うとともに、強度特性に大きく影響する粒子分散化と母相の微細組織に対する酸化物種及びMAプロセス後の熱加工処理の影響を解明する目的で研究を行った。 酸化物種として、Y_2O_3,ZrO_2、MgO、Al_2O_3の5種類を選んだ。MAプロセス後の熱加工処理については、主として高温域で行うか、中温域で行うかの2種類とした。 粒子分散性は、酸化物種より決まり、Y_2O_3は母相中に微細に一様に分散した。その他のZrO_2,TiO_2,MgO、Al_2O_3は、一般に平均径はY_2O_3より大きく、直径200〜300nmの粗大な粒子も所どころに存在する分散状態を示した。また、これら5種の酸化物粒子の分散性はMAプロセス後の熱加工処理による影響は明瞭には認められなかった。そして、MAフェライト鋼の強度に対しては、微細に一様に分散するY_2O_3が最も大きく寄与することが明らかになった。母相の微細組織に対しては、酸化物種の影響は認められず、MAプロセス後の熱加工処理の影響が非常に強かった。MAプロセス後の高温押出、圧延により結晶粒(サブグレインも含む)が粗大化した。母相の結晶粒が小さい程、強度も大きく、微細一様分散するY_2O_3と、母相結晶粒を微細する熱加工処理との組み合わせが、MAフェライト鋼の強度特性を高める最も有効な方法であることが明らかになった。
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