研究概要 |
粉体特性に応じた成形法・機能制御法の開発のためには,成形中の粉体粒子の挙動を十分把握する必要がある.また磁気機能部品である磁石等は,粉末を素材として磁場中成形によって作られるが,その磁気特性には,磁場および力学場における粒子の挙動が大きく影響する.粒子マイクロメカニクスでは,粒子特性・粒子相互特性を扱い得る.本研究では粒子集合体の挙動を記述する力学体系すなわち粒子マイクロメカニクスの基礎理論を確立して,粉体粒子の挙動を明らかにするとともに,粒子のミクロな回転をモデル化した連続体理論を構築して粒子マイクロメカニクスの体系化を図る.これによって高機能化のための機能制御とニヤネットシェイプ加工の実現に寄与することを目的としている.本年度は次のような結果を得た. 1)粒子モデルによるシミュレーションでは,従来の円形または球形モデルのみではなく,非円形,あるいは非球形のモデルを比較的容易に扱い得るようになった. 2)また本シミュレーションでは,粒子間摩擦として摩擦係数を導入しているものの,摩擦抵抗としての機能が十分ではなかった.そこで新たな粒子モデルを考察して摩擦抵抗を表す事ができるようになった.これにより,成形プロセスの定量的な評価が可能となる.これは平成9年度塑性加工春季講演会で発表予定である. 3)磁場による回転をモデル化した連続体の基礎理論(コセラ-理論)を構築することが出来た.この中に複数の材料パラメーターが含まれるが,どのようなアプローチでも,その同定はしていなかった.ここではその方法を新たに考案し,その理論的根拠を示すことが出来た.これについても平成9年度塑性加工春季講演会で発表予定である. 4)来年度さらに上記について検討し,粒子マイクロメカニクスの体系化を図りたい.
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