研究概要 |
金属ニオブに、蒸気圧、ニオブとの親和力、水素との結合力など物理的・化学的性質が異なるアルミニウム、チタン、鉄を試験不純物として少量合金化し、Nb-0.7at%Al-0.5at%Ti-0.5at%Fe合金(Nb基希薄合金)を溶製した後、これを出発原料としてArおよび10〜30vol%H_2-Arプラズマアーク溶解を行い、溶融ニオブからの各合金元素(試験不純物)の蒸発・除去低減化に対する水素プラズマ溶解の精製効果を定量的に検討した。以下、得られた結果を記す。 (1)Arプラズマ溶解でも、Al,Feの蒸発除去が確認されたが、Tiの蒸発除去は僅かであった。 (2)プラズマガスへの水素添加により、Al,Fe,Tiの蒸発量は顕著に増加し、その蒸発除去速度は1次反応式に従った。 (3)また、プラズマガス水素量に比例した除去速度の増大が確認された。 (4)蒸発除去速度はAlが最も大きく、以下Fe,Tiの順で、蒸気圧が大きい不純物ほど迅速に蒸発除去される傾向が判明した。 (5)Nb中のTi,Al,Feはともに10at.ppm以下にまで容易に除去低減化された。 (6)以上の結果から、水素プラズマ溶解時の優れた金属不純物に蒸発除去機構に関してはプラズマ高温内で生成した活性水素の関与、および水素プラズマの高い熱伝導率に起因する試料溶融温度の上昇に因るものと判断された。 (7)蒸発除去における律速段階としては、不純物が高濃度の場合にはガス側境界層での蒸発種の拡散、低濃度の場合は液側での不純物元素の拡散が支配的と考えられた。
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