研究課題/領域番号 |
08455346
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高井 治 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40110712)
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研究分担者 |
井上 泰志 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10252264)
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キーワード | ダイアモンドライクカーボン / プラズマCVD / 金属元素ドープ / 有機金属化合物 / X線光電子分光 / 電気抵抗率 / 光透過率 |
研究概要 |
高周波プラズマCVD法とスパッタリング法をハイブリッドさせた成膜プロセスを用いることにより、金属元素をドープしたダイアモンド・ライック・カーボン(DLC)薄膜のナノスケール制御を試みた。成膜には、平行平板型高周波プラズマCVD装置を用いた。原料ガスとして、水素とメタンを用いた。また、金属のチップを高周波電極上に置き、発生する自己バイアスを利用したスパッタリングにより、チップ表面の金属原子を基板上へ供給した。本年度は、添加する金属として金と銅を選択した。作製膜の構造をX線回解析法、組成及び科学結合状態をX線光電子分光法、電気的特性を直流二端子法、また光学的特性を近紫外〜近赤外域の光透過率測定により、それぞれ評価した。 金を添加したDLC膜中において、金は金属クラスターとしてのみ存在し、炭素との直接結合は観測されなかった。一方、銅を添加した膜においては、炭素-銅の直接結合がわずかに存在することが確認された。添加金属濃度は、高周波電極上へ設置する金属チップ数によって制御可能であった。電気的特性と光学的特性の添加金属濃度依存性は、金、銅ともに同様の傾向を示した。電気抵抗率は、無添加状態では10^7Ωcm台であったが、金属濃度の増加とともに急激に減少し、36at%の金属濃度で1.4Ωcmとなり、半導体特性を示した。また、無添加状態で1.6eVの光学ギャップは添加金属濃度が増加するとともに減少し、15at%以上で一定値(金:0.8eV、銅:0.9eV)に飽和する傾向を示した。これらの結果は、金属添加がDLC薄膜を絶縁性から半導体性へと変化させたことを意味する。本研究の成果から、金属を添加することによって、DLC薄膜をアクティブエレクトロニクスデバイスへ応用する可能性が示された。
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