界面反応を利用した金属間化合物Ni_3Al製造の基礎検討として、NiとAlの濡れの測定を中心に研究を行った。この系ではNiとAlの反応、Al中へのNiの溶解による希釈熱が存在することから、これらの系で濡れを正確に測定することは極めて難しい。そこで、Niの上に純AlとAl-Ni合金を同一温度で滴下する実験を主体に、濡れの測定を行った。その結果、状態図的には一定温度下ではNiとAlが平衡する化学組成は一つしかないが、濡れの測定を行うとその接触角は大きく異なる現象を見い出した。これらの現象は濡れ測定の基本にも関係するものであり、今後に研究を進める上でも避けては通れない現象と判断し、測定温度、Al合金の組成を変化させ、更にはNi/Al系の単純モデルとしてのSi/Al系の濡れの測定をも試みている。すなわち、後者の状態図には金属化合物は存在せず、単純に溶解熱が存在するだけである。 これらの研究結果はNi/Al系での濡れの測定の難しさを明らかにした。すなわち、NiとAlの間には多くの金属間化合物が存在し、これらがNi/Alの界面に生成することで物性値としての濡れの値である接触角を不明確にしていることが明らかになった。また、これら金属間化合物の生成は反応速度の問題でもあり、単純に平衡論で論じることができないことが判明した。そこで、今後は界面での発熱が濡れに及ぼす影響に関しても検討を進める予定でいる。
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