管内固気二相流では、粒子は管壁と衝突を繰り返しながら気流をともに移動しており、衝突時の電荷移動によって粒子は帯電する。この帯電現象を利用して粉体の質量流量を計測する方法が提案されており、応答性が良く、固気二相流を阻害しないという長所をもつ。しかし、粒子の帯電量が変化したり、粒子と検出体の静電気特性が近い場合、計測できなくなるという短所も指摘されていた。これらの問題点を解決するため、異なる静電気特性をもつ2本の検出管(例:窒化チタンとニッケル)を直列に配置して各検出管から発生する電流を解析的に演算処理する方法を提案し、鉱物系微粉体を用いて確証実験を行った結果、相対誤差10%以内という精度で粉体の質量流量が計測できることがわかった。さらに、本システムを用いて粒子の帯電量も同時に計測できることを示した。工業的には、鉱物系だけではなく高分子系粉体も広く用いられるている。高分子系粉体は空気輸送すると管内壁との衝突によって塗膜をを形成しやすい。特に、金属など表面の堅い材質ではこの傾向が強く、鉱物系粉体用の検出管を高分子系粉体にそのまま適用することは難しい。そこで、高分子材料を用いて検出管を作製し、検出管としての性能を発生電流を基に評価した結果、カーボンを混入した導電性高分子材が電流検出において優れた安定性を示すことがわかった。高分子系粉体でも異なる静電気特性をもつ2本の検出管(例:導電性ポリテトラフルオロエチレンと導電性ナイロン)を用いることによって質量流量計測が可能であることがわかった。
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