研究概要 |
本研究では,油中水滴型マイクロエマルション中で金属化合物超微粒子を合成し,その微粒子が分散した溶液中で金属アルコキシドから担体を作製し,同時に金属化合物超微粒子を担体に固定化するという新規固定化法に関する研究を行った.昨年度のRh/SiO_2の検討に続き,本年度はPd/ZrO_2触媒のPd露出率について検討した.Rh/SiO_2と同じ条件で調製したPd/ZrO_2のPd露出率はRhのそれに比べて著しく低かった.また,Al_2O_3担体についても検討を行ったが,その場合の金属露出率はRh/SiO_2の場合と変わらなかった.したがって,Pd/ZrO_2のPd露出率が低かったのは,担体の種類による相違ではなく,固定化する超微粒子の種類に起因することが示唆された.つまり,金属微粒子の露出率を向上させるには,Pdの場合のような金属超微粒子を固定化するのではなく,Rhの場合のように錯体超微粒子を固定化することが重要であることが示唆された.さらに,Pd/ZrO_2のPd微粒子固定化条件がPd露出率に及ぼす影響を調べたところ,Rh/SiO_2の場合と同様に固定化時の含水率を増加させることなどが,Pdの露出率向上に効果的であることがわかった.このようなPd露出率の向上によって,触媒活性は著しく向上した.また,金属の露出率が活性点当たりの反応速度に及ぼす影響について,Rh/SiO_2上のCO水素化反応を例にとって調べた.その結果,Rhの露出率が30%以上の範囲では,Rh露出率はRh1原子当たりの活性には影響せず触媒全体の活性に影響するだけであるが,Rh露出率が30%以下になるとRh露出率が低くなるほどRh1原子当たりの活性が高くなることがわかった.これは,Rhの露出割合が非常に低いところではRh粒子のある特定の結晶面だけが露出したためと考えられた.
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