研究概要 |
スルホニル基を2ケ有する酸二無水物、チアントレン2,3,7,8-テトラカルボン酸二無水物-5,5′,10,10′-テトラオキシドを合成し、各種ジアミンと縮重合し、ポリイミドを合成した。フレキシブルなジアミンとからは丈夫なポリイミド膜が得られたが、スルホン基を二個含むジアミンであるジメチル-3,7-ジアミノベンゾチオフェン-5,5′-ジオキサイドとの縮重合では、まだ丈夫な膜は得られておらず、重合条件を検討中である。 2,4,6-トリメチル-1、3-フェニレンジアミン(TrMPD)からのポリイミドを化学修飾して、ホスホネート化ポリイミドを合成し製膜後、残存する-CH_2Br基を利用して熱・アミン架橋した。この膜は、ベンゼンでコンディショニング後、ベンゼン/シクロヘキサン系のような芳香族/非芳香族炭化水素の浸透気化(PV)分離で、非常に優れた分離性能を長期間安定に示した。 ヘッドスペースガスクロにより、これらの膜におけるC_6-C_8炭化水素二成分系での収着量、組成を測定する方法を確立した。スルフォニル基含有ポリイミド膜について、ベンゼン/シクロヘキサン系では、溶解選択性と拡散選択性が透過選択性に同程度寄与しているが、ベンゼン/n-ヘキサン系では、低ベンゼン組成域で負の拡散選択性(n-ヘキサンの拡散係数の方が大きい)を示すが、ベンゼン組成の増加と共に膜膨潤のため、拡散選択性はなくなり溶解選択性が透過選択性と同じになることが明らかになった。 ポリピロロン膜を窒素気流中で熱処理し、炭化させた膜のC_2-C_4のオレフィン/パラフィン系分離性能を調べた。500℃、1h処理膜がプロピレン/プロパン系でプロピレンの透過係数が200Barrer、理想分離係数が57と優れた分離性能を示すことがわかり、現在、ポリピロロン薄膜を多孔性アルミナ支持体上にコートした複合膜を炭化して、炭化ポリピロロン複合膜の作製を検討中である。
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