研究概要 |
ジエチニルベンジジン(DEB)を含むポリイミは、350℃で0.5h熱処理することによりエチニル基間での架橋により、ベンゼン/シクロヘキサン(Bz/Cx)系分離において、比透過流束Q1をあまり低下させずに分離係数αを大きく増加させることができ、浸透気化(PV)分離性能を向上させることができた。側鎖基の間の比較的ルーズな架橋は透過流束の減少が小さくPV性能の向上に有効である。 DEB含有ポリイミド膜にテトラシアノエチレン(TCNE)を添加すると、Bz/Cx系でQ1は大きく減少するαは大きく増加した。TCNEの流出によるPV分離性能の低下は小さかった。これは、エチニル基とTCNEの間で1:2の電荷移動錯体が形成され、分子間架橋と同様の効果で膜が緻密化したこととTCNEのアクセプターとしての芳香族成分に対する親和性の相乗効果によると考えられる。 3,3',4,4'-ジフェニルヘキサフルオロイソプロピリデンテトラカルボン酸二無水物とm-フェニレンジアミンからのポリイミド(6FDA-PD)膜を500℃,1h窒素気流下で熱処理すると、ガスの透過係数は1000倍増加し、CO2/CH4等の優れたガス分離性能を示した。熱処理温度を700℃に上げると、透過係数は減少し分離性は増加した。炭化膜は優れたプロピレン/プロパン(C3H6/C3H8)分離性能を示した。ポリイミドを多孔性アルミナ支持体管上に塗布した複合膜を熱分解して炭素膜を作製した。操作電子顕微鏡からの炭化膜の膜厚は3μm程度であったが、炭化膜でのガス透過係数は平膜の炭化膜と比べて一桁程度小さかった。炭化条件の検討が必要である。
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