研究概要 |
芳香族炭化水素に対して親和性を有するホスホネート基を高濃度(200%まで)導入したホスホネート化ポリイミドを合成し、その熱及びアミン架橋した膜を作製した。この膜は、ホスホ-ネート基のベンゼンに対する親和性のため溶解選択性が高く、芳香族/非芳香族炭化水素系浸透気化(PV)分離性能及び耐久性に優れた。また、繰り返し単位当たり2ヶのスルホニル基を含むポリイミドが、前述の膜と同程度の高いPV分離性能を示したので、スルホニル基を2個有する酸無水物モノマーであるチアントレン-2,3,7,8-テトラカルボン酸二無水物-5,5′,10,10′-テトラオキシドならびにそのポリイミドを合成した。ジエチニルベンジジンを含むポリイミドでは、側鎖基の間の比較的ルーズな架橋は透過流束の減少が小さくPV性能の向上に有効であった。また、このポリイミド膜にテトラシアノエチレンを添加すると、電荷移動錯体形成による分子間架橋に伴う膜の緻密化とアクセプターの芳香族成分に対する親和性の相乗効果のため、PV分離性能が向上した。 ポリイミド膜は、1,3-ブタジエン/n-ブタン系分離においては優れた分離性能を示したが、プロピレン/プロパン系分離では、性能が低すぎて実用化の可能性は低い。そこで、ポリイミド及びポリピロロン膜を前駆体とし、窒素中500-700℃の処理を行い、非常に優れたオレフィン/パラフィン分離性を有する炭素分子ふるい膜を作製した。複合膜、中空糸膜の炭化条件の検討が今後必要である。 耐溶剤性に優れた高密度ポリエチレンの多孔質支持体上にグリシジルメタクリレートをグラフト重合させた膜のPV分離性能は、膜の形態構造により大きく異なる。両面均一プラズマ照射した後、穏やかな重合条件により作製したグラフト膜は、分離係数が大きく、透過流速も比較的大きく優れたPV性能を示した。
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