研究概要 |
1)イチゴ培養細胞の色素生産プロファイルの定量化 画像処理を用いて,イチゴ培養細胞による色素生産評価を行った。画像処理によって細胞サイズプロファイルを測定したところ,培養前期ではあまり変化がないが,培養後期の9日目には大きい細胞が増え,全体的にばらつく結果となった。また,色素生産細胞の割合を変化させて,従来の吸光度と画像処理による赤色値の間に線形関係が成立する処理条件を見出した。色素生産プロファイルについては,色素生産細胞は培養期間中,常に4〜6割存在していることを示した。また,光照射下では,すでに培養開始1日目に広範囲の濃度で色素生産が開始され,高い色素濃度の細胞も存在した。このことは,低濃度から徐々に色素生産を行うのではなく,発現量には大きなばらつきがあるためと考えられる。さらに培養日数にしたがって,低濃度側にピークがシフトしていくことを明らかにした。 2)イチゴ培養細胞の色素生産能力の遺伝的改変 前駆体としてのフェニルアラニンの培地への添加の有効性を検証し,その取り込み挙動から,暗所生産変異株FARではPAL活性が通常より高い可能性が示唆された。このことより生合成系全体での重要な律速酵素としてCHSが示唆されため,CHS遺伝子の導入を試みた。アントシアニン生産の暗所生産変異株FARにおける,変異の遺伝的解析を目的に,連続培養系での色素生産条件の検討を行った。FAR特異的に高発現している遺伝子の分離,同定を,連続培養とcDNAサブトラクションを組み合わせた新しい手法により試みた。
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