ダイヤモンドは、現在知られている物質の中で最も硬く、また高い熱伝導性や化学的安定、さらに光化学的特性も優れた材料である。我々は熱フィラメントCVD法によりアセトンを炭素源としホウ酸をドーパンドとして導電性基板上にp型半導体ダイヤモンド薄膜を作成し、化学的に非常に安定で耐食性に優れた電極材料を得ている。 実際に電解質水溶液中に光照射するとカソード光電流が観測されたことから、p型半導体ダイヤモンド薄膜電極は光電極としての性質を有している。このカソード光電流は水素発生によるもので、ダイヤモンドの伝導帯は約-4.4VvsSCEとほとんど真空準位に接近していることから、このダイヤモンドの電極の光電極としての特徴は非常に強い還元力を持つということである。本研究はマイクロ波プラズマCVD法で作成したフリースタンディングのp型半導体ダイヤモンド薄膜の光電気化学特性を評価し、光電気化学反応の応用として現在環境問題で注目されている二酸化炭素の還元を試みる研究をした。具体的な研究成果を下記に述べる。 1.マイクロ波プラズマCVDの装置によるフリースタンディングp型半導体性ダイモンド薄膜の作成とその物性について評価した。 2.フリースタンディング薄膜のXe・Hg灯照射下における光電気化学的特性の評価とシリコン基板付きのダイヤモンド薄膜電極の光電気化学的特性との比較をした。 3.ArFエキシマレーザーでダイヤモンド電極の励起を行い光電気化学的特性を評価できた。
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