研究概要 |
I チオール自己集合膜の脱離によるマイクロ電極集合体の調製 ヘキサデカンチオールの自己集合単分子膜を被覆した金電極を,シアン化ナトリウム水溶液に浸漬するとにより,単分子膜の欠陥部位からチオールの脱離がおこり,脱離した部分がマイクロ電極として働くことによって電極全体としてマイクロ電極集合体として機能することを見出した。その電気化学特性を,電極の調製条件を関数として詳細に調べた。 II 機能性を有するチオール自己集合膜の電気化学特性 末端にレドックス部位を有するチオールの自己集合単分子膜を被覆した電極の電気化学特性は,通常の機能性電極とは異なった特異的な反応を示す。この現象は,レドックス部位が高密度に存在し,電荷の変化に対する電荷補償イオンの追随の様式が通常の電極反応とは異なるためであることを理論的に証明し,かつその理論が実験的に求められた測定結果と一致するものであることを立証した。 III チオール自己集合膜への酵素の導入とバイオセンサーへの応用 グルタルアルデヒドを架橋剤に用いることにより,末端にアミノ基を有するチオールの自己集合膜を被覆した電極に,種々の酵素を固定出来ることを見出した。この方法により調製したコレステロールオキシダーゼおよび尿酸オキシダーゼを固定した電極が,それぞれコレステロールセンサーならびに尿酸センサーとして機能することを明らかにし,そのセンサー特性を詳細に調べた。
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