金属タンパク質の電子移動制御のための機能電極界面の原子・分子レベルでの解明

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08455399
• 研究機関: 熊本大学
• 研究代表者: 谷口 功 熊本大学, 工学部, 教授 (90112391)
• 研究分担者: 山口 博子 熊本大学, 大学院櫟然科学研究科, 助手 (60040424) ; 西山 勝彦 熊本大学, 工学部, 講師 (10202243)
• キーワード: 単結晶電極 / 単分子膜 / チオール / 真空蒸着 / STM / AFM / 電子移動 / シトクロムc / 再構成ミオグロビン

研究概要

本年度は、初年度に作製した超高真空蒸着装置を用いて真空蒸着法により作製した原子レベルで制御した下地電極およびフレームアニーリング法を用いて作製した単結晶面とを互いに比較しながら研究を進め、下記の研究成果を得た。
1.金属タンパク質の電子移動制御のための原子・分子レベルで制御した界面の創製と評価:
チトクロムcの電子移動制御用電極を単結晶表面を用いて形成し、その表面機能化分子の分子レベルでの構造をSTMを用いて明らかにした。
2.フレームアニーリングクエンチ法を用いた単結晶面の作製と金属タンパク質の電子移動反応制御:
フレームアニーリング法を用いて作製した単結晶面上に形成させたチオール系分子単分子膜について電気化学法およびSTM法を用いて構造を評価し、金属タンパク質の電子移動反応に対してプロモーター機能を持つものと持たないものでその表面構造が明確に異なることを明らかにした。
3.チオール系表面修飾剤の単結晶表面での吸着挙動:
チオール系分子の金電極表面上への吸着挙動が共存する硫化物イオンの存在で大きく異なることを明らかにし、その影響の程度がチオール系分子の電気化学的還元離脱挙動から推察できることを明らかにした。
4.酸化インジウム電極を用いたミオグロビンの電子移動反応:
半人工金属タンパク質(特にミオグロビンおよびその変異体)について電極上での電子移動速度を定量的に評価し、金属タンパク質の性質(活性中心構造、スピン状態、水分子の関与、等)との関連を明らかにした。
さらに、電子移動速度が化学反応による還元速度と良好な相関性を示すことを明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] TANIGUCHI,Isao: "Effect of the Structure of Modifiers Adsorbed on Gold Single Crystal Surfaces on the Promotion of the Electrode Reaction of Cytochrome c" Chem. Lett.353-354 (1997)
• [文献書誌] FUSHINUKI,Yoshito: "Electrochemical Analysis of Water-soluble Paraquat and Diquat in Urine" Denki Kagaku. 65. 326-327 (1997)
• [文献書誌] TANIGUCHI,Isao: "Electrochemical Study of Biological Functions of Amino Acid Residues Using Mutated Molecules of Maize Ferredoxin" Chem. Lett.929-930 (1997)
• [文献書誌] TANIGUCHI,Isao: "Atomically-defined Surfaces and Artificially-designed Molecules for New Protein Electrochemistry" Proc. The 3rd Korea-Japan Joint Seminar on Electrochemistry.127-132 (1997)
• [文献書誌] TANIGUCHI,Isao: "Functional Electrodes for Probing Metalloproteins and Bioelectrochemical Systems" Interface. 6. 34-37 (1997)
• [文献書誌] TANIGUCHI,Isao: "Electrochemical and spectroelectrochemical properties of manganese reconstituted myoglobin" J. Electroanal. Chem.(in press). (1998)
• [文献書誌] TANIGUCHI,Isao: "Novel Trends in Electroorganic Synthesis (Ed. by S. Torii)" Springer-Verlag, Tokyo,461(175-176,405-408) (1998)
• [文献書誌] TANIGUCHI,Isao: "New Challenge in Organic Electrochemistry (Ed. by T. Osa)" Gordon & Breach Publ., Tokyo, 361(237-252) (1998)